Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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わたしだけの神さまは悪魔?

わたしの愛する――とは言えちょっと最近は新しい愛を燃えさせてくれる材料がないのですが――Depeche Mode、なんといっても一番の魅力はスタイリッシュさです。そしてそれは深い思想だとか主義主張に裏付けされているわけではないので表面的なんですけど、すごくいいところを突いてくるところが憎いのです。

わたしが彼らの虜になったのは、 "Behind the Wheel"のビデオを見たときでした。ああっ、もう、あれはお気に入りのビデオとしてうちの一つとして死ぬまでわたしのリストの中に残るでしょう。白黒のビデオでヨーロッパの片田舎を女の子が乗るスクータの後ろに、David Gahanが乗ってうろうろするあれです。 神父さんが「感心しないな」と苦々しく二人を見るところなんて、本当に素晴らしい。そして"Behind the Wheel"って言ってるのに、通常連想するであろう車に乗ってない。スクータなんです。微妙に外している。君が運転席にいる、君がすべてをコントロールしている、と歌うわりには簡単に降りられちゃいそうです。"little girl"と呼びかける男と女の本当の力関係を示唆していると言えるでしょう。これがアメリカのバンドだったら、キャディラックとかに乗っちゃってハイウェイを走っちゃって、もう本当に強いコントロール好きな女性の言われるがままになってしまうっていう歌になりそうなところです。

そして彼らの歌詞の素晴らしさ。これもまたそれほど深みがあるわけではないのですが、ゴス的価値観(彼らはゴスバンドではないですが)の要所を捉えてます。(キリスト教圏ならではの)反キリスト教的でソフトSMです。もしSMソングを二つ挙げろと言われたら、The Velvet Undergroundのそのものずばり"Venus in Furs"(ザッハー・マゾッホの『毛皮を着たヴィーナス』のことです)とDepeche Modeの"Master and Servant"でしょう。あらら、どちらもMでした。Sの曲はこれから考えてみます。ただ美学的にSは面白くないと思うのとそれほど興味がないのでダメかもしれませんが。

というわけで、まさにぴったりのビデオが出ているので "Personal Jesus"を取り上げてみたいと思います。この曲を聞いたとき、もうまさにDepeche Modeだなあと思ったことを思い出します。そしてJohnny Cashがこれをカバーしたとき、何だか複雑な気になりました。Johnny Cashのバージョンはそれはそれで素晴らしかったのですが、彼が歌うと歌の意味がまったく変わってしまうからです。Depeche Modeの"Personal Jesus"は本当のキリストなんてところからは遠く隔たったお手軽な救いを求め与える福音主義的なキリスト教についての皮肉を歌っています。受話器を取り上げて淋しいんだと相談すると、あなたを救ってあげますよ、なんてのは嘘っぱちでしょ、と言っているわけですよね。ところが、Johnny Cashの歌う方は実はこの嘘っぱちキリスト教を真剣に信じている人の歌だったりします。アルコール中毒の人々、犯罪者の方々が突然、キリスト教に目覚めて「生まれ変わって」しまったりすることがよくありますが、まさにJohnny Cashはそのパターンです。ドラッグ中毒だった彼は突然、信仰を発見してファンダメンタリストのキリスト教信者になります。

その文脈で考えると彼の"Personal Jesus"は、個人的な苦悩、自分の悪癖から起こる苦痛のなかで「自分だけの」神が見つけられるのだ、求めることによってそこに救いはあるのだと言っているのです。勝手に悪癖に陥り、都合良く自分を救ってくれたりする存在を見つけちゃったりするわけです。そんなに神さまがお暇だったりするわけはないと思いますが。

Depeche Modeのほうはそちらからは遠く遠く隔たった曲であると言えます。Depeche Modeのオリジナルの "Personal Jesus"もビデオは素敵です。この頃はDepeche Modeはギターを多用した時期であり、それに呼応するように荒涼とした土地とギラギラしたグロテスクさを組み合わせたイメージをビデオに多用しています。

しかし、今度のStargateのリミックスのビデオでは、Depeche Modeの元々持っている想像力に近いものができています。ずばりイメージは魔女狩り! 魔女裁判で有罪にされたと思わしき少女が橋の上から川の中に浸されています。人々の恰好からすると近代初期の後半辺り、つまり魔女狩りの大流行のさなかです。もっともよくあった処刑方法は熱した油の中に入れられることかと思っていましたが、いろいろな方法があったようです。しかし、この魔女の女の子がロープが切れて川の中で溺れ死んでしまったかと思いきや、空中に浮揚してきます。そして彼女とともに湧き上がった水が熱湯(熱油?)となって人々に降り注ぐというすっきりする(?)結末となっているのです。

リミックスとしては、わたしは実は苦手です、これ・・・。本当のハードコアなDepeche Modeのファンであれば、彼らのすべてのリミックスをそれぞれ入手していなくてはならないんだろうと思うのですが、もともとそれほどリミックスには興味がないのです。なおかつこのStargateのリミックスは・・・安っぽくないですか? (ちょっとためらいがちに言ってます)


自分だけの神さま

歌詞:Martin Gore

訳:Gil-Martin

手を伸ばして神に触れろ

君自身のイエスさまは

君の祈りを聞いてくれて

君のことを気にかけてくれる

君自身のイエスさまは

君の祈りを聞いてくれて

君のためにそこにいてくれる


自分が取り残された気がしてただ一人の

実体を持つ存在のように感じて電話の隣にいるなら

受話器を上げろ

君を信者にしてあげる

二番目の解決法でいいじゃないか

僕をテストしてみてくれ

君が悩んでいることは

告白してくれなくちゃならない

僕が救ってあげよう

僕は許しを与える人間なんだ

手を伸ばして神に触れてみよう

*アーティスト:デペッシュ・モード

 作品:バイオレーター/リミックス2:81−11

    「パーソナル・ジーザス」

| gil-martin | 音楽 | 18:05 | comments(0) | - |
21世紀に1980年代が蘇る

最近、かなり流行っているのがGotye。"Somebody That I Used to Know"という歌がヒットしています。どこでどうと言われると何とも言えませんがヒットしているっぽいです。とてもキャッチーな曲を書く人で、"Somebody That I Used to Know"もヒットするのが当然と言える曲です。彼のウェブサイトはこちらから

この人はまずオーストラリアのシンガーのようであるというところが目を引きます。しかも小さな頃にベルギーから移住してきた人らしいです。つまりベルギー系オーストラリア人。本名はWouter de Beckerと言うようです。ということはフラマン語圏でしょうか。だからどういう文化的背景だとか、音楽的特徴があるというわけでもないのですが。どうやら大学ではちらっと日本語も勉強してみたらしい。やめちゃったみたいですが。この曲が収められているMaking Mirrorsは3枚目のアルバムのようですが、オーストラリアの外でもヒットしたのは、この曲が初めてのようです。

彼の口で説明しがたい文化的背景のみならず、彼の音楽は描写が難しいものです。しかしわたしが初めて聞いたときに「うむっ」と思い、その後さまざまな批評なども見て納得なのがGotye=ピーター・ガブリエル+スティング(÷2?)と言う評価です。ご存じのように二人とも70年代、80年代を代表する大ビッグブリティッシュバンド(それぞれGenesisとThe Police)のフロントマンでしたが、80年代にはソロとして大成功を収めました。その二人に似ているGotyeは彼一人で80年代をリバイバルさせてる感じです。

音楽的にはピーター・ガブリエルに近いものがあります。なんだかハイパーでキャッチーな音楽はまさにそうです。でもそれ以上に音楽的と言うより声が似ているのがスティング。低音ではそうでもないのですが、高音でサビを歌っているときが激似です。"Somebody That I Used to Know"のビデオを見たときに、サビを彼が歌う部分がアップになったとき「これってスティング・・・!!!」と思いました。何が似ているって口の開け方! この下のリンクのビデオをご覧ください。口が! 口がそっくり! やっぱり口の開け方、骨格が似ていると声が似るんでしょうね。

スティングっぽい口とそれほどうれしくない裸が見られるビデオはこちらから

ビデオは彼のはだしの足から始まります。最終的には絵の一部になるという構想なので仕方ないんでしょうが、彼の裸はあんまりうれしくないです。うーん。もっと爽やかなビデオだったらいいのにと思うのですが・・・。つまり裸がプラスじゃない方向に働く人なんですよね。最近、特に本当にやめてほしいと思っていたのはMaroon5です。 "Move Like Jagger"のことです(嫌なのでリンクは貼りません)。明らかに彼は刺青が自慢なので、上半身裸なんでしょうが、ちょっと立ち止まって鏡を見てみたほうがよいんではないでしょうか・・・。まず第一に刺青ってものが猫も杓子の今日この頃それほど見せびらかしてもあんまり驚きはしないし(そしてもっとすごい人の刺青はもっともっとすごいし)、音楽的にもキャッチーでポップであることをひたすら目指しているわけだし、なよっとした体でタフガイなふりをするのは、どうなんでしょうか。ファンの人はいいんでしょうが、別にファンじゃない人にとってはちょっと見たくないものを見せられてしまった感があります。アダム・なんとかの裸は好感度がひたすら下がる要素だと思います。Gotyeの場合、別に裸を自慢にも思ってなさそうだし、アートを目指してるっぽいビデオなのでそこまで嫌がらせ感はないですが、それでもペイントされる前の裸の部分がなければもっと好感度が上がったと思われます。

ちなみにこのビデオに出てきているデュエットをしている女性はKimbraというかなりデビューして日の浅いシンガーのようです。彼女もニュージーランドの人ということで、南半球の二人組での歌ってことですね。彼女自身の最初のシングル、"Settle Down"は、テーマや気概は悪くないし面白いのですが、何かがちょっと違うのか足りないのか・・・わからないんですが。なぜニュージーランドの人が21世紀に50年代風アメリカなテーマなんでしょ、という気もしなくもなくて・・・。

その彼女のビデオはこちらから

目指すところが微妙なGotyeですが、音楽的な才能もスティングの方が断然あると思います。人柄としては微妙ですが、音楽を作る才能、リズム感、そしてさまざまな音楽を聞き分け、どう取り入れるかという才能はスティングは群を抜いています。ピーター・ガブリエルはそこまで好きではないのですが、でもやっぱり才能はありましたよね。Gotyeの場合、"Somebody That I Used to Know"はキャッチーだし、その他の曲もすごくキャッチーだけどベタ過ぎて微妙なものも多く、微妙な感じです。まさに80年代が蘇ってきてしまった感じ。

"Somebody That I Used to Know"だけでなくアルバムからの彼の曲がここからストリームできます


『かつて知ってた人』

歌詞:Wouter de Becker

訳詞:Gil-Martin

ときどき君と僕が一緒だった頃のことを考える

あまりに幸せすぎて死んでもいいって君が言った頃のことを

君は僕にピッタリだって言い聞かせてた

でも君と一緒にいるとさびしかった

でもっそれが愛だって思ってて、その痛みをまだ覚えてる


ある種の悲しさに中毒することってある

最後まであきらめきったときみたいな

だから僕たちがうまくいかないってわかったとき

そう、君が僕たちはそれでも友達でいられるって言ったとき

でも僕は終わってよかったと思ったよ


でも君は僕を拒絶する必要はなかったんだ

僕たちが何でもなかったなんてふりをする必要はなかったんだ

君の愛は必要ない

でも君は僕を知らない人みたいに扱うんだ、それってつらいよ

君はそんなにひどいことしなくてもよかったんだ

友達にレコードを取りに来させて、電話番号を変えるなんて

僕にそんなことしなくてもいいんだよ

君はただもう僕がかつて知ってたひとなんだから

前に知ってただけの人なんだから


ときどき君が僕にひどい扱いをしたときのことを考える

そしていつも僕が悪いって思わせてたんだ

あんなふうに生きたくはないんだ

君が言うことばすべてに裏の意味を読み取るなんて

君は忘れられるって言った

そして君がただ知ってた人に執着してるのを僕は知ることなんてないからね


でも君は僕を拒絶する必要はなかったんだ

僕たちが何でもなかったなんてふりをする必要はなかったんだ

君の愛は必要ない

でも君は僕を知らない人みたいに扱うんだ、それってつらいよ

君はそんなにひどいことしなくてもよかったんだ

友達にレコードを取りに来させて、電話番号を変えるなんて

僕にそんなことしなくてもいいと思うよ

君はただもう僕がかつて知ってたひとなんだから

前に知ってただけの人なんだから


*アーティスト:ゴーティエ

作品:メイキング・ミラーズ

「サムバディ・ザット・アイ・ユース・トゥ・ノウ」

| gil-martin | 音楽 | 10:49 | comments(0) | - |
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