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Gil-Martinの部屋Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど
***当ブログに掲載されているすべての文章の無断転載、転用を禁止します*** 2011.09.18 Sunday
青年水夫の詩
振り返ってみると、かなり中年・老年ロッカーの話ばかりしてきたわたしですが、若者も見捨ててはいません。新しくよいバンドを見つけることは、人生の喜びが増えることでもあります。時代によって流行があるために同じようなバンドが一時に出て来るので、しばらく前まで人生の喜びは少な目でした。そのせいでわたしは中年・老年ロッカーにばかり注目していたのかもしれません。特にアメリカにおいては、普通のチャート番組で得るものは何もないと思ってから久しいです。そうなるとなぜかイギリスのバンドは、アメリカよりよいのではないかとひいき眼で見てしまいます。これは今迄からも書いているように、自分がイギリスに対する漠然とした憧れがあるせいもあるかもしれません。アメリカは何だか手の内がわかっているというか。そうは言ってもわたしの好みからすると、実際に良いバンドを定期的に生み出してくれるのはイギリスだったりします。
アメリカかイギリスかといったような偏見は関係なく、このバンドWild Beastsは望みがありそうです。(彼らのウェブサイトはこちらから)2枚目のアルバム、Two Dancersから聴き始めましたが、ずっとお気に入りのプレイリストに入っていました。Wild Beastsという名前からすると、とても激しいメタルバンドのようですが、彼らのサウンドを想像するにはアルバムタイトルのTwo Dancersのほうからイメージしたほうがよいでしょう。繊細で優しく切ない音楽を作るバンドです。どういうジャンルなのか何とも言い難いのですが、ウィキペディアでは「ドリームポップ」とか「アートロック」などというジャンルも挙げられています。一応、まだインディーらしいですね。そして今年出した3枚目のアルバム、Smotherも期待を裏切りませんでした。 彼らのもっともたる特徴は、ボーカルのファルセットでしょう。世間の音楽評論家たちは、なぜかボーカルがファルセットを使って歌うと、すべて一括りにしてしまう悪い傾向があるように思います。すぐにRadioheadとかSigur Rósとか、Travisとか・・・。Wild Beastsに対しては、Mikaと似ているとか言っているものもありましたが、Mikaに??? キッチュでポップなMikaとポップはポップだけど、もっと切ないというか、もっと大人なWild Beastsは、同じ種類では決してありません。 5月に新アルバムを発売した彼らは、このブログのどこかにも書いたことがある、イギリスの音楽番組Later with Jools Hollandに出ています。前にも書きましたが、イギリスに住んでいたら、1度も逃さずに見るんだろうと思うくらい充実した音楽番組です。残念。この番組で新しいアーティストを発見することもいっぱいあるんだろうな、と夢見ています。 Joolsで初めて見て素晴らしかったと思ったのは、Devendra Banhart。Jools Hollandでのパフォーマンスを見てから、他の曲なども聴いてみたのですが、ダメでした。つまらなかった・・・。このビデオを見ると、ええっ!!! こういう人なの? 面白いんだか、自己陶酔型なのか、よくわからん人です。これを見た後で見ると、Jools Hollandのパフォーマンスも過剰演出という気もしなくもない。バレエを踊って、人のボーイフレンドを寝取って、できちゃった結婚したNatalie Portmanと付き合ってたことがあるらしいです。自分たちは他の人よりクールで(ビーガンな感じで―と適当に書いたら、Natalie Portmanは本当にビーガンらしい)他の人より偉いとか思っていそうな2人なので、お似合いだったと思います。 気を取り直して、Wild Beastsの話題に戻ると、彼らはJools Hollandでもよいパフォーマンスをしています。アルバム全体も曲はすべて粒ぞろいですが、ライブもよさそうです。ファルセットをよく使うボーカルなので、ちょっと心配でした。というわけで、Wild Beasts のJoolsでの演奏はこちらから。Bed of Nails; Albatross; Lion's Share 素晴らしいパフォーマンスです。ライブ、見てみたいですね。しかし、彼らはヨーロッパとアメリカしかツアーしない様子です。わたしはここしばらく何のコンサートにも行っていません・・・。 今回、訳に選んだのは、Albatross。Albatrossというと、最初に思い浮かぶのがサミュエル・テイラー・コレリッジ(Samuel Taylor Coleridge)ですが(わたしの限られた想像力では、ですが)、歌詞をよく聴くとその通り、Coleridgeの "The Rime of the Ancient Mariner"に対する言及でした。「老水夫行」という日本語訳が当てられていたりします。この詩は、語り手が老水夫に出会って、彼がどのようにアホウドリ(信天翁とも書かれます)の呪いをかけられることになったか、という彼の経験をとうとうと聞かされるというものです。Coleridgeと言えば、同じくロマン派主義詩人のWilliam Wordsworthとともに湖水詩人と言われるわけですが、実はWild Beastsたちはこの湖水地方出身だったようです。湖水地方というのは、イギリスの北西部にある山々や湖の美しい地方のことです。と言っても、わたし自身は行ったことがないのですが。美しいらしいです。そんなこんなでColeridgeにa特別の親近感を抱いているのでしょうか? Albatrossのビデオは彼らのウエブサイトから見られます。 アホウドリ 歌詞:Wild Beasts 訳詩:Gil-Martin アホウドリ、アホウドリ お前がその上を飛ぶ大海は何と無関心なことか わたしはお前を恨む、お前を恨む わたしの苦悩のすべてに対して 悪く思うな、少しも心を悩ませるな お前がぶら下がっているのはわたしの首だ まるで鎖か飾りのように わたしがたじろぐとお前は裂け目のなかを 海へと落ちて行った、そこにはわたしが 話すべきだった秘密のすべてがある それらはそのときそこで溺れて沈んでいった そう、溺れて沈んでいった そう、溺れて沈んでいった わたしはお前を恨む、お前を恨む わたしが経験した苦悩のすべてについて 悪く思うな、少しも悩むことなどない お前がぶら下がっているのは、わたしの首だ まるで鎖か飾りのように わたしがたじろぐとお前は裂け目のなかを 海へと落ちて行った、そこにはわたしが 話すべきだった秘密のすべてがある それらはそのときそこで溺れて沈んでいった そう、溺れて沈んでいった そう、溺れて沈んでいった アホウドリ、アホウドリよ、 行く道を失ったら、どちらに向かえばいいのだ *アーティスト:ワイルド・ビースト 作品:スマザー 「アルバトロス」 |
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