Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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ただの強い女じゃなくて
ここ数回、あの人は今? という感じのアルバムのお話をしたので、昔は実はこの人、こうだったんですよ、という感じのアルバムのお話をしたいと思います。つまり、今のほうがずっと有名な人の過去ということですね。実家に置いてあったアルバムを漁っていたら、出てきました。どういうきっかけでこのアルバムを買ったのか憶えていないのですが、MillaのThe Divine Comedy。今回、改めて聴いてみてもいいアルバムです。
The Divine Comedy
The Divine Comedy
Millaとは、Milla Jovovichのこと。The Fifth ElementResident Evilシリーズで有名な元(現役でもあるかな)モデルの女優ですね。彼女のウェブサイトを見ると、今現在でも、エトロマンゴーのモデルをやっているみたいです。Resident Evilって、バイオハザードというんですよね、確か日本では。戦うゲームが苦手なわたしは(戦いに勝てなくて次に行けないから。そのうちにダメダメ、人間、暴力に訴えてはいけないのよ、という言い訳がましい気持ちになる)、どちらも同じくらいぼんやりしたイメージしかないので、どっちでもいいです。このパターンから考えると、今やっているUltravioletも含め、彼女はSFのhot babe役がお得意ということでしょうか? テレビでやっていた最初のResident Evilを冒頭部分だけ見たことがあるのですが、その限られた情報量からすると、彼女がやる役は、普通の人間ではなく、従って男性主人公とコミュニケーションは成り立たず、一度は全裸になり、その後は非人間的な戦闘能力を発揮するキャラクターということなのではないでしょうか? 人間ではないので、普通の感情や常識がないけれど、セクシーで、彼女をどう人間化していくかが一つのポイントとなる、SFにおける一つのステレオタイプ的なキャラクター。Star TrekのVoyagerで言えば、7 of 9。その究極の形は性的サイボーグ。つまり、男性の調教ファンタジー。彼女をそんな風に描いたLuc Besson監督と結婚していたことも、そしてResident Evilの監督であるPaul W. S. Andersonと現在付き合っている(婚約している?)ことも、なかなか手ごわいがセクシーなサイボーグ/エイリアンを操っている、「オタクだけどいい男な俺」(まさにこの写真!)、という願望を現実でも満たしてあげている気さえします。

とは言え、彼女はモデルだけにセクシー路線で売っているようでありながら、肉体改造は行っていない様子。それでもセクシー系の役が次々にやってくるというのは、彼女のウクライナ出身のエキゾチックな容貌にそれだけの魅力があるということでしょうか。ロシア人だというイメージを抱いていたのですが(生まれたのはその当時ソビエト連邦の、今はウクライナのキエフ)、どうやらかなり若いうちにアメリカに移住しているので、ウクライナ系アメリカ人と言ってもいいくらいのようです。

ということで、今ひとつ、わたしの普段の生活には関係のないゴージャスなファッションと男性のファンタジーのなかに生きるモデル・女優、Milla Jovovichですが、彼女のアルバム、The Divine Comedyは普通のモデル上がりの芸無しシンガーのアルバムとは一線を画しています。なかなか聴きごたえあり。歌詞はすべて彼女の手によるもののようですね。フォーク色濃いアコースティックなアルバムになっています。そして、その映画でのキャラクターの機械的なイメージを裏切って、人間らしい、温かみのある優しい音を聴かせてくれます。彼女がかなり小さな頃からLAに住んでいたことを考えると当然なのですが、ちゃんと英語しゃべれるんですね。本当は、アクセントも何もない普通の英語をしゃべるんだろうと思うのですが(普通にしゃべるところを聞いたことがないのでわかりません)。その他にも何ヶ国語か話せるようです。

このアルバムが出た頃、確か元モデルで女優になった人だなあというイメージくらいしかありませんでした。Brooke Sheildsが一躍有名になった「青い珊瑚礁」シリーズの二作目(Return to the Blue Lagoon)に十代の頃、出ています。相手役がBrian Krauseというのを見て、何だか見たことある名前だなと思っていたのですが、写真を見てわかりました。CharmedのPiperの夫、white knightのLeoですね。わかるわたしが恥ずかしい……。

このアルバムでわたしが一番好きなのは、トラディショナルなロシアのフォークソングだという、最後の曲、In a Gladeです。何を言ってるのかさっぱりわからないというのも、ある意味魅力です。歌詞を見つけましたが、それでもさっぱりわからん。ロシア語がわかる人は楽しんでください。ここ。(オフィシャルサイトには英語訳も載っています)

なので、ちゃんと歌詞のわかるMilla Jovovich自身がつくった歌を訳してみます。"Clock”という政治的閉塞状態について、どうやらナチスドイツについて歌っているらしい曲です。これもなかなかいい曲です。彼女のオフィシャルサイトを見ると、まだ少しずつ音楽製作は続けているようなのですが、普通に販売するフルアルバムはこのThe Divine Comedy以降、出していません。

(オフィシャルサイトでは、彼女の新しい曲のデモが聴けます。そのうちのいくつかへのリンクを)
"Driving Up"
"Beat On Ice"
"Breathing in Your Sleep"
"Bring It On"
"Calm Water"
(これ以外にも聴きたい人は、オフィシャルサイトの右側のタブの”Music”をクリック、そして"Demos Section”という緑色の文字をクリック)

これだけ才能があるのだから、また音楽に戻ってもいいのではないでしょうか。そしてもちろん、そのビデオは彼女自身が出演する限り、間違いなく見ごたえがあるものになるわけですから。そのよい例である"Gentleman Who Fell"をこのサイトの一番下の、ビデオの部分、曲名をクリックしてしてどうぞご覧ください。
http://www.allmusic.com/cg/amg.dll

時計
歌詞:Milla Jovovich
訳詞:Gil-Martin

わたしは箱のなかに閉じ込められている
窓と時計がついた箱のなかに
秒針が進んでいくのを見ているわたし

時計がカチカチ言いながら、進んでいく
花がぱらぱらと落ちていく、落ちていく
わたしは眼が冴えて、眠れない

狂人にみんな敬礼する
偉大なる殺人者、偉大なるアーリア人
欲しいだけ奪えばいいわ
わたしの命も、歌も、人種も

火が燃えている
わたしの民族は強い願いを抱きながら
わたしは閉じ込められて、反抗したまま死んでいく

わたしは箱のなかに閉じ込められている
窓と時計がついた箱のなかに
眠れないことがあるの
だから秒針が進んでいくのをただ見ている

時間は冷たくなっていく
わたしは歳をとっていく
わたしが知っていた人はどこに行ってしまったの?

眼が醒めたわたしは、もう眠れない

*アーティスト:ミラ
 作品:ディヴァイン・コメディ
    「クロック」


| gil-martin | 音楽 | 01:15 | comments(2) | trackbacks(0) |
わたしのことを忘れないで、わたしの話を聞いて
前回は、地味だなーと言う人だったのですが、今度はわりと派手に注目を集めたこともある人です。Wendy James。という名前ではほとんどわからないと思いますが、Transvision Vampと言えばどうでしょう? でもイギリス限定で話題になったバンドだと思われるので、何それ、と思っている人は多いかも。ここがTransvision Vampのファンサイト。(http://www.transvisionvamp.com/band/wendyjames.html)まだあるんだーと感心してしまいますが。

Transvision Vampは、かわいい女の子が男の子のバックバンドを従えて過激なことをやってみましたという、よくある感じのバンドでした。プラチナブロンドの若くてかわいい女の子が、少々舌足らずに歌うわけです。彼女の役割は性的に過激なことを言い、またはセクシーな行動を起こして、プレスの注目を集めること。Wendy Jamesはその役割を充分果たしていたのですが、そういうバンドによくある運命として、あっという間に解散。その後、なぜかElvis Costelloの助けを得て、出したアルバムが、今日、紹介するアルバム Now Ain't the Time for Your Tearsです。
WendyJames
このアルバムもそれほど大々的に成功することはなく、Elvis Costelloとのコラボレーションもこの一枚で終わり、彼女は忘却の彼方に消えて行ったのです。とは言え、実は細々と今も活動は続けているみたいです。自分ひとりでRacineというバンドをやっているみたいです。彼女のウェブサイトはこちら。(http://www.theracineworld.com/)写真を見ると、やっぱり歳をとってしまったなあ、という感じです。ちょっとParis Hiltonに似てきたでしょうか? うーむ、彼女のこの姿は、かわいくてセクシーであることを売り物にしていた女性が、30歳、40歳となったときにどうやって生きていくかという問題を体現しているかもしれないですね。Wendy Jamesはやっぱりかわいくてセクシー路線で行こうとしているようですが、あのかわいさは最早ない。かわいくてセクシーであるということは、歳を重ねると難しいことなのですね。かわいいおばさん、おばあさんはいるし、セクシーなおばさん、おばあさんは……いや、セクシーなおばさんはいてもおばあさんは嫌か、ともかく、それぞれなら歳を取っても魅力を保てる可能性はあるが、かわいくてセクシーってダメなのかもしれません。皺のあるかわいいおばさん、皺のあるセクシーなおばさんはいても、皺があってかわいくてセクシーというのはかなり実現不可能なことのように思えます。はあ、これからの自分の行く先を考えてしまいます。とはいえ、かわいくてセクシーだったことなんてないので、まったくの杞憂なのですが。

Elvis Costelloが全面的にプロデュースしたこのアルバムは、彼女のかわいくてセクシーな魅力を使ってやっていたことを振り返る内容になっています。Costelloが気持ちを推し量って書いた歌詞のようです。なので、彼女は単なる操り人形だったのだ、その糸を切りたいの、と歌っています。音を聞けば、まさにCostello。この前、Costelloはひねくれた若者の声を持っているといいましたが、Wendy Jamesもその若い声でこのCostelloの音楽にぴったりあっています。彼女は歌がうまくなく、幼い感じさえする歌い方をします。必死で歌っているという感じ。それがTransvision Vampのときは無理をして人に言われるがまま大胆な言動を演じていたのだのだという歌詞に信憑性を増しています。この頃、かわいくてセクシーと言えども、彼女は26、7歳ですね。ぎりぎりか? ともかく、このアルバムは彼女が痛々しくて、ちょっとキュンとするところがわたしは好きだったのですが、誰もそれほど気にしなかったみたいです……。

原詞はこちらから 

わたしが言っていること、わかる?
歌詞:Elvis Costello
訳詞:Gil-Martin

飾り立てた昔のプリマドンナが、観衆に愛されなくなったとき
どんな気持ちだったか話していた
わたしの言ってること、わかるかな?
そのメロドラマチックな別れのこと
2000デシベルとかそのくらいの音のなかでのね
わたしの言ってること、わかってくれる?

明かりを暗くしたなか、ストラウスの曲が流れる
彼女は体をぶざまに伸ばしてローラースケートを履いて登場
そして救急車みたいに踊って
マンガのネズミみたいに話す
彼女が洋服を脱ぐと、客は大喝采
わたしの言ってること、わかる?

わたしの言ってること、わかる?
なんでわたしが呼んでも来てくれないの?
わたしが言ってること、わかる? まだわたしの声、聞こえる?

男の場合だったら、愚かで、残酷で、お金持ち
世界の脇の下のかゆみみたいなもの
わたしの言ってること、わかる?

彼はとっても魅力的な田舎者の若者だから
言ってないことも彼が言ったことにして、後で苛めるの
それが何についてだったかなんてどうでもいい
彼が意地悪なことを延々と言っているってことになれば
わたしが言ってること、わかる?

男の子はいつまでも男の子
血が流されなくちゃならないの
ショービジネスほど
罪悪感をいっぱい感じさせて
論理的能力をなくさせるものはないわね
わたしの言ってること、わかる?

彼はこの不自然な状況のなかでも本物の声
そして、調べが始まったときに
最初に声をあげた
犯罪歴とポリエチレンみたいな肌を持って
彼は台詞をとちって、頬をへこませる
わたしが言ってること、わかる?

シッ、黙って、彼、何か言うことがあるみたい……
「両手をこんなふうにできるかな?」
わたしの言ってること、わかってくれる?

*アーティスト:ウェンディ・ジェイムズ
作品:ナウ・エイント・ザ・タイム・フォア・ヨア・ティアーズ
   「ドゥ・ユー・ノウ・ワット・アイム・セイイング?」

| gil-martin | 音楽 | 21:38 | comments(1) | trackbacks(0) |
乙女の憂鬱
最近、新しいバンドやらCDについて書くことが多かったので、ちょっと古いものを振り返りたいと思います。……お盆に実家に帰省して、昔のCDを発見して連れ帰ってきたからなのですが。すでにCDの収納には苦労しているのですが、聴かないでいるのはつらいなあと思って、ついつい。音楽について書いていらっしゃる他の方のブログにお邪魔すると、どうやらわたしなんて較べものにならないくらい、ハイペースでCDを購入されておられる様子。みなさんすごい豪邸に住んでいらっしゃるのかなあ。わたしはプラスチックケースを後生大事に持っているのはあきらめて、カバーなどを取り出して収納する方向に移行しようと決めたところです。ということで、昔のCDもバリバリプラスチックケースを開け、中身だけ出してソフトウォレットケースに移して持ってきました。
Ancient Heart
Ancient Heart
という狭い東京住宅事情についての愚痴はともかく、懐かしいCDを改めて聴いているところです。置き去りにされてしまったCDのほとんどは、そのときにちょうど聴いていなかった、またはそのCDで好きだった曲がたった1、2曲だというものですね。今は、買う前にネットなどで最低、2、3曲は視聴したり、全曲30秒程度のサンプルを聴いたりするので、こういうことはなくなりました。でも今日は、そういう憂き目にあってしまったCDを。Tanita TikaramのAncient Heartから"Twist in My Sobriety"について。

この人、というよりは、この曲、なんといっても暗いです。暗い音楽が好きなことにかけては、人に負けないとは思うのですが、この人は声からアンニュイが漂ってくる人です。で、あまりにもその度合いが過ぎて(一応、明るい曲もなくはないのですが)、何となく聴かなくなってしまいました。Ancient Heartが発表された当時、たった19歳。Tanita TikaramというこのTの音が多い、このちょっと変わった名前は、彼女の両親がマレーシアとフィジー出身だからということからのようです。

彼女は今、どうしてるのでしょうかと不思議に思っていました。当時、19歳という年齢の割にはかなり地味な売り方だったような気がします。天才シンガーソングライターという感じでした。エスニックな部分はあまり強調された売り方ではなかったように思います。地味、ホント地味地味という印象だったのですが、ファンのサイトを見てみると、意外にセクシーな感じの写真が載っていて驚きました(http://www.tanitatikaram.com/)。 最初のアルバムの成功の後は、それほど脚光を浴びることもなくやっぱり地味にやってきている人のようです。ジャンルとしては、フォークと言えばいいのでしょうか。フォークというジャンル、もしかしたらわたし、あまりに好きじゃないのかもしれません。どうも1、2曲気に入って買っても、すぐに棚に収まってしまい、忘れ去られてしまう傾向があります。やっぱりわたしにとっては、地味なのです。この曲、"Twist in My Sobriety"だけは、暗いなりに好きなのですが。

もう一つのファンサイト www.tanitatikaram.net/
オフィシャルウェブサイト www.tanita-tikaram.com/
最近のアルバム(2005)の曲が聴けるサイト www.hrmusic.com/artists/ttart.html

わたしの正気を乱すもの
歌詞:Tanita Tikaram
訳詞:Gil-Martin

神の子にはみんな旅行用の靴がいる
ここから問題を追い出してしまいなさい
良き人はみんな聖書を読む
そうすれば良心が晴れるから
あなたが話しているのを聞いたわ
ほらあなたの良心は晴れたでしょう

朝、わたしは額をぬぐう
何マイルも先までぬぐう
わたしの意志は強いと思いたい
あなたの言うことなんか、やりはしないと
あなたの言うことなんか聞かない

見て、わたしの眼はただのホログラム
ほら、あなたの愛はわたしの手から血をひかせる
わたしの手から
あなたは自分がわたしの正気を少々乱す以上のものにはならないってわかってる

わたしたちは小さなパイをつついただけ
夜のお遊びをしただけ
夜遅くには敵意は必要ない
おずおずとした笑顔を浮かべて立ち止まり、解放する

あなたたちがさまざまな考えを持っていても構わない
さまざまな考えがあるっていうのはいいこと
腕のなかで貞節かつ完璧にしていても
すべて神の子どもはその代償を支払う

一杯お茶を飲み、時間をとって考える、そう
命をかけるとき、そう命を
スイートでハンサム
柔らかくてぷよぷよ
明かりが見えるまで、食べ続ける
明かりが見えるまで食べ続ける

人々の半分は新聞を読む
しっかりよく読む
綺麗な人たち、神経質な人たち
人々は売らなくてはならないから
ニュースを売らなくてはならないから

見て、わたしの眼はただのホログラム
ほら、あなたの愛はわたしの手から血をひかせる
わたしの手から
あなたは自分がわたしの正気を少々乱す以上のものにはならないってわかってる

*アーティスト:タニタ・ティカラム
 作品:エンシェント・ハート
   「ツイスト・イン・マイ・ソブラエティ」

| gil-martin | 音楽 | 19:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
ミネアポリスの新星
しばらく前に買ったアルバムを今日は紹介します。期待の新人アーティストといっていいかもしれません。アルバムThe Loonを発表したTapes n’Tapesです。ラインとしては、Franz FerdinandやらThe Killers、The Raptureやらでしょうか。もちろん、こういうときお決まりのThe Pixiesも較べられるバンドとして出てきています。ここ数年のThe Pixies再評価には恐ろしい勢いがあるので、ふーん、そうかな、という感じも。最初にThe Pixiesが出てきたときを覚えていて、それなりに当時、聴いていたものとしては、そうかなあ、そんなにすごいバンドだったかなあ、という気さえするのですが。
The Loon
The Loon
それはともかく、そういう意味でいえば、これからそういったバンドとどう差異化をはかるか、がポイントではないでしょうか。すごくカッコいい人々でもないし、センスはいいけど、卓越してすごいといえるところまでではないので、これらの新しいインディー系ロックバンドのなかからどうやって生き残っていくかということは、これから自分たちなりのスタイルを確立できるかどうかにかかってくるだろうと思います。

彼らはMinnesota州Minneapolis出身のバンド。あまりロックバンドが出てくる地域というイメージがしませんが(もちろんPrinceを除いて)、やはりかなり昔にはThe SuburbsというMinneapolisのニューウェーブバンドもいないこともありませんでした。The Suburbsが笑える(?)バンドなのと同様に、彼らも歌詞を聴いていると、くすっとさせるところもあります。ビデオもそれなりかな。彼らの写真を見ると、どちらかとするとnerd系の人々です。田舎の大学生みたいな感じ。という点でいうと、最近のかなりカッコよく決まっている売れてきているバンドのなかからは一歩出遅れるか。するとこのユーモア路線で押すしかない? なんとなく好感の持てるお兄ちゃんたちという気はしますし、頑張って欲しいと思うのですが。

彼らの最初のアルバムThe Loonは、まず2005年に発表されています。2006年XL Recordingsと契約を交わして、このアルバムを再発表しているようですね(ここはThom Yorkeのソロアルバムを出したところ)。コンサートもまめに廻っているようですし(7月に中西部、西部を廻り、8月にはイギリス、10月には南部を廻るみたいです)、David Lettermanにも出ています(そのときの映像はこちら)。なんとなく自分がJay Leno派ではなく、David Letterman派なので、David Lettermanのほうがよいバンドが出る気がするのですが、実はそう違いはないのかも(Jay Lenoのほうは見てないから、ただわからない)。

このバンドを発見したのは、今、MTVで唯一見る価値がある(?)The Subterraneanを見ていた友達。この番組、日本のMTVにはあるのかしら?(とケーブルに入っていないわたしは、ぼんやり思うだけなのですが)。早速チェックして、アルバムを購入しました。ムキムキでこれみよがしにbling blingをつけたオニイサンの周りを、ほとんど何も着ていないオネエサンがただただお尻を振るビデオに占領されて久しいMTVですが、The Subterraneanだけは安心して見ることができ、こういうふうに新しいバンド発見さえできます。いわゆるalternative, British Pop/Rock, New Waveなものを中心に流す番組なのですが、でもこういうロックを集める番組をThe Subterraneanと呼ばなくてはならないところが、ここ10年くらいの音楽事情を示唆しているんでしょうか。

ともかく話をTapes n’Tapesに戻しますと、こういう路線が好きな人は注目に値するのでは、とお奨めしたいところです。もうすでにDavid Lettermanには出てしまいましたが、大大ブレイクというわけではないので、早め早めのチェックを怠らない人には無視してはいけないバンドでしょう。最初のシングル2曲はどちらもかなりお奨め。特に"Cowbell”はとってもお気に入りです。アルバム全体も通して聴けるよい出来です。

XL Recordinsで新シングル”Cowbell”のビデオが見られます。http://www.xlrecordings.com/broadcast/~cowbell/
彼らのオフィシャルサイトでは(こちら…テープの絵をクリックして中に入ってください)、"Insistor”のビデオが見られるだけでなく、その他MP3ファイル"Insistor,”"Cowbell," "Omaha"がダウンロードできます。"Tapes”とあるところをクリックしてください。
……加えて、なんだかよくわからないジョークドキュメンタリーも見られるのですが。クレイジーなプロモータClell Tickleのお話。

カウベル
歌詞:Tapes n’ Tapes
訳:Gil-Martin

俺を放っておいてくれ
この孤独とストレスのなかに
俺は君のママとのときのほうがいいセックスができた
星と頬
心から君のことが嫌いなんだ
僕はやってきて行ってしまってぐだぐだ言って、君がやってくるのを見た
君はやってきて行ってしまった
僕が見てたのを知ってるじゃないか

君は嘘の人生を生きたいのか
否定しなくてはならない嘘の人生を
僕は絶対そうだと信じてたよ

かなり遠くまで来てしまった
長い間こうだった
君のルーツ、彼らは走る
君のルーツ、彼らは走る
君の神聖なる家を恥ずかしさが突き抜ける
君は恐怖に形作られて僕のところに来た
カウベルが君を脅かす

*アーティスト:テープス・ン・テープス
作品:ザ・ルーン
   「カウベル」

| gil-martin | 音楽 | 20:48 | comments(0) | trackbacks(1) |
哀しみのベルベット
復帰第一回目。以前、大絶賛したMy Brightest Diamond/AwRyの新作について書きたいと思います。手元に届いて一週間以上、経ったのでちょうどわたしのなかにもじんわり浸透していい感じになってきました。
Bring Me the Workhorse
Bring Me the Workhorse
Shara WardenのMy Brightest Diamondとしての第一作目、Sufjan StevensのAsthmatic Kitty Recordsに所属して初めての作品です。ということで、アマゾンでも買えるようになりました。が、わたしが買おうとしたときには届くまで時間がかかりそうだったので、どうせなら、ということで、Asthmatic Kitty Recordsから直接買ってみました。するといいこともありますね、Asthmatic Kitty RecordsのアーティストのサンプルCDがおまけについてみました。22曲入りのお得なCDです。といっても半分くらい、Sufjanだった気もする……(正確にはたった4曲でしたが)。一週間ぐらい待ってもいいという人はAsthmatic Kitty Recordsから買ってみてはどうでしょう?
*こちらから→http://www.asthmatickitty.com/music.php?releaseID=52

アルバム自体ですが、正直言えば、わたしはAwRyのアルバムのほうが好きだったかもしれません。AwRyが前衛、アヴァン・ギャルド、ゴス、トランスというジャンルに近かったのに較べ、Bring Me Workhorseはもっとわかりやすい気がします。よりポップに、かつロックに。わかりやすくダークに。歌詞の抽象度も下がった気がします。それに伴って、何よりもこのアルバムでは、彼女の歌のうまさをつくづく感じてしまう。それがいいのか悪いのか、わたしにはよくわかりません。やっぱりオペラを勉強した人だけに、コンサートで聴けばそのよさは確実にわかるだろうと思いますが。今までにわたしは何度も書いているのですが、Tori Amosのすごいところはコンサートで3時間の長丁場、アンコールの最後の曲になってもまったく衰えない伸びのある声が出るところなのです。が、Sharaだったら、より正統派の声をToriに負けない迫力で聞かせてくれるかもしれません。あるラジオ番組で、DJが彼女に声をとても抑えているのに気づくんだけど、と言っています(これ)。彼女が余裕を持って、声をしっかりコントロールしていることが今回のアルバムではわかります。

ともかく今回のアルバムは、以前のに較べてより既成の音楽ジャンルに近い形の曲が多い気がします。加えてもう一つ気づくのは、以前彼女が言っていた、PJ Harveyの影響ですね。"Freak Out"は、彼女がPJ Harvey風の曲を作ろうとした曲なんではないかな、と疑っています。でも、残念ながらPJ Harveyのことを考えながら聞くと、Sharaはコントロールされすぎている気がしてしまいます。本当に"freak out"してない。もちろんPJ Harveyも本当に"freak out"してるわけではないけれど、彼女のギターと彼女の音にはもっと生な、もっと真に迫る部分があるわけです。ということで、ある意味、歌がうますぎると出来ないこともある、ということでしょうか。

なんて辛口の批評かもしれません。わたしの期待が大きすぎたせいかもしれませんね。とは言え、彼女がわたしのお気に入りのアーティストの地位を確立したことには間違いありません。ここ一週間、音楽を聴くときはこのアルバムを聴いていました。お奨めは、アルバムが出る前から聴くことができた"Something of an End"と"Golden Star"ですが(彼女のMyspaceで聴けます→こちらhttp://www.myspace.com/mybrightestdiamond)どっぷり暗い”Gone Away”もお気に入りです。またまた彼女がどれほど歌がうまいか、よーくわかる曲です。彼女の耳を優しく撫でるようなベルベットのような声がとても効果的。最悪に惨めで、可哀相で、どん底の曲なので、あー、わたしはこの世で独りぼっち、誰もわたしのことなんて愛してくれないの、という気分になったときに、夜中、部屋を真っ暗にしてエンドレスで聴きたい曲ですね。

My Brightest Diamondのオフィシャルサイト
http://www.mybrightestdiamond.com/
AwRyのアルバムを買うにはこちら
http://cdbaby.com/cd/awry

あなたはいない
詞:Shara Warden
訳:Gil-Martin

あなたは遠くに去り、わたしはここに残された
あなたがいないと寒くて、淋しいのよ
5月、6月、7月、時を数えて
わたしが過ごす一分毎に
あなたの服の匂いは消えていく

あなたが去ってしまったから
あなたが電話線のないところに行ってしまったのに
わたしはそれでも電話のそばで待っているの
さよならの手紙も書いてくれないのね
さよならも言ってくれない

紙切れも全部残してあるのよ
スーパーの買い物リストとか、カードとか
予定のリストとか、試合のスコアとか
あなたが心変わりして帰って来たときのために
全部、ちゃんと置いてあるの

あなたがいないあいだ
あなたが電話線もないところに行ってしまっているあいだ
わたしはそれでも電話のそばで待っている
さようならの手紙も寄こさないから

わたしを降ろして、わたしを連れ出して
これはわたしが大嫌いな場所にしか行き着けない旅
ただ涙を流して終わるだけ
生きていきたくないの
あなたが残して行った
紙切れ一杯と一緒に

これはわたしが大嫌いな場所にしか行き着けない旅
ただ涙を流して終わるだけ
生きていきたくないの
こんな紙切れ一杯を
年老いたとき、わたしの道連れにはしたくはない

あなたがいないあいだ
あなたが電話線もないところにいるあいだ
それでもわたしは電話のそばで待っているわ
どうして手紙の一通ぐらい書いてさよならって言ってくれないの
さようならって言ってくれないの

*アーティスト:マイ・ブライテスト・ダイアモンド
 作品:ブリング・ミー・ザ・ワークホース
    「ゴーン・アウェイ」
| gil-martin | 音楽 | 21:07 | comments(0) | trackbacks(1) |
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