Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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世界の終わりにイエスさまと

今日取り上げるのは、結構人気のThe Raptureのニューアルバムです。In the Grace of Your Loveが発売されてまだ間もないところです。非常にノリノリなバンドなんですが、どうもメンバーの方々はパッとしません。なんだかオタク度の高い人々のように見えてしまうのですが、本当はどういう受け止められ方をしているのでしょうか・・・。

このThe Raptureというバンドを検索しようとすると、まず挙がってくるのがキリスト教系のウェブサイトです。それは"rapture"という言葉が「この世界の終わりにキリスト教徒たちが空中で再臨したイエスさまと会うこと」をも意味するからです。「携挙」という日本語が当てられています。この世界の終わりに、という言葉からわかるように、基本的には世界終末論主義者の人々が提唱している考えです。キリスト教終末論では、この携挙と千年王国とイエスの再臨がどんな順番で起こるかという点においてさまざまな議論があるようですが、一番、なじみのある(?)患難前携挙説/前千年王国説によると、

  1. イエスが空中に再臨する
  2. 地上のキリスト教徒たちが空中に引き上げられる(携挙)
  3. 患難時代の到来
  4. ハルマゲドン
  5. イエスが地上に再臨する
  6. 千年王国 

という順番になります。キリスト教系カルトの集団自殺騒ぎは、ほぼこの携挙や千年王国の信念が根底にあります。

もっとも最近の携挙騒ぎは、今年、2011年の5月21日。アメリカのキリスト教ラジオ局ブロードキャスター、ハロルド・キャンピングが来るぞ、来るぞとみんなを脅しました。もちろん審判の日は来なかったのですが、今現在、彼は5月のその日に霊的携挙は実際に起こったのであり、10月21日に物質的な携挙が起こると主張しているようです。・・・もう、ね、あきらめればいいのに、と、非キリスト教徒のわたしは思うのですが、世界終末論というのはカルトにおいて非常に重要な教理の一つであり、彼らは失敗したらそのたびにそれに言い訳を探し、改変し、また次の終末へと備えるように教義を変えていくわけです。むかーし、この来なかった終末という教理がどのようにカルトの結束を固めていくかということを説明してくださった宗教社会学の先生のお話を思い出します。危機というのは、グループの団結を高めてしまうものなのです。良かれ悪しかれ。しかし、キリスト教徒たちはそれほど世界が終わってほしいのか、と思ってしまうところですね。

アメリカ英語のボキャブラリに、「クールエイドを飲む(drinking the Kool-aid)」という表現があります。「彼はクールエイドを飲んじゃったのね」と言うと、彼はとんでもなく変な教義・宗教指導者を盲目的に信じていて、これはもうやられちゃったのね、と言うことです。クールエイドというのは、粉状になっていて水を加えて作る、とっても体に悪そうな子供用飲料のことです。もちろん、普通のKool-aidを飲んでも、新興宗教にいかれてしまうわけではありません。これは1978年のジム・ジョーンズに率いられた人民寺院の信者たちの集団自殺の際に、クールエイドにシアン化合物を混ぜたものが使われたことに由来します。この場合は、単純な世界終末論とはまた違い、ガイアナで集団生活をしていた人民寺院の実態にアメリカ政府が気付いたことに危機感を抱き、すでに強い強迫観念に悩まされていたジム・ジョーンズが集団自殺を指示した、というものです。まだそれほど昔の話ではないので、人民寺院を視察に来た議員一行が襲撃されたときに生き残った人、集団自殺で生き残った人たちの証言を加えた特集が、ときどきヒストリー・チャンネルなんかでやっています。また彼らが集団自殺したときの音声も残っていることもあり、アメリカの社会に強い衝撃を与えた、おそらくもっとも有名なカルト事件だと言えるでしょう。気づけば、この集団自殺の日ってわたしの誕生日でした。この年じゃないですけど。

"rapture"という言葉自身には、そういうクールエイドを飲んでしまった感がある気がします。英語の言葉自体としての"rapture"は、恍惚状態とか狂喜または歓喜という意味で、世の中が終わったりはしないわけですが。

バンドのウェブサイトはバンド名に"music"をくっつけたここです。もっと紛らわしいバンド名のInterpolは(普通に検索すると、もちろん国際刑事警察機構International Criminal Police Organizationにたどりつきます)彼らの地元であるnycをくっつけたものをウェブサイトにしています→ここ

そしてバンドとしての "rapture"はなんだか歌って踊って罰当たりな感じです。いや、薄っぺらいギターと電子オルガンやらドラムの伴奏で、イエスさまを讃える限りなく安っぽい歌を歌いながら、両手を挙げて涙を流しながら恍惚状態に陥っている、現代の福音主義系教会の人々を思い出すと、キリスト教的な意味からも隔たってはいないかもしれません。あの人たち、別に何を信じても構いませんが、もっと音楽のセンスを磨いていただきたい。ついでに言えば、Katy Perryがそんなマーケットを踏み台にしてメインストリームに出てきたと思えば、思いっきり(保守派キリスト教の教義からすれば)罰当たりなイメージを拡散して売り上げを上げているというのは、なんだかねー、と思います。

そんなふうにバンド名をキリスト教的文脈から理解すると、最初のシングルである "How Deep Is Your Love?"の歌詞も、神さまと自分の関係のお話と解釈できます。アルバムのタイトルからすると、この解釈が正しい可能性はかなり高いです。この曲でキリスト教徒の人が恍惚状態に陥ってくれるなら、それほど悪くもない、と個人的には思います。

アルバムを聴くにはこちらから

歌って踊って恍惚状態に陥るビデオはこちらから


君の愛はどのくらい深いんだい?

歌詞:The Rapture

訳詩:Gil-Martin


君が与えてくれる愛は

正しいものを見極めるのに役に立つ

僕の人生ずっと君は

君の光を見るチャンスを与えてくれている

僕が感じている愛情を

全部吐き出そう

僕が泣くと君は僕の痛みを癒してくれる

君の所へ行かせてくれ


その行き止まりの道のところで

足で感じている 君は優しいってことを

太陽がまっすぐに僕の顔に差している

ここが見つけるべき場所なんだ

暗闇では選択肢は限られている

君と僕の二人きり

生きるために必要なものを与えてくれ

君のところに行かせてくれ


君の歌を聞かせてくれ

君に与えられたこの試練では

僕はずっと歩き続けてきた

今、君は僕のすぐ隣を歩いている

山をいくつも僕たちは昇る

僕の君に対する気持ちはすべて

君の靴を履いて立っている

僕が泣くと君は痛みを癒してくれる

ここから離れるのを手伝ってくれ


君の歌を聞かせてくれ


君の愛はどのくらい深いんだい?


*アーティスト:ザ・ラプチャー

作品:イン・ザ・グレイス・オブ・ヨア・ラブ

   「ハウ・ディープ・イズ・ヨア・ラブ?」

| gil-martin | 音楽 | 18:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
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