Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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静かな夏の夜に
まだ雨も降りますが、梅雨というよりは夏らしくなってきたような気がする今日この頃。夏といえば、この曲かもしれないとここ2、3日考えていました。REMの名曲、"Nightswimming"です。

REMといえば、言わずと知れたアメリカのカレッジロックバンド。息の長さとその政治的意識の高さからすると、U2と並ぶロックバンドと言っていいでしょうか。内向的な自己満足的反体制バンドから、もう少し外へと向かい始めたDocument辺りが彼らの最高点であったとわたしは思うのですが(異論はたくさんあると思います)、1992年のアルバム、Automatic for the Peopleからのこの曲は、REM自体のいわゆるカレッジバンド、オルタナティブ(音楽的にも政治的にも)という姿勢とは違ったものを見せるものでもありながら、美しく切なく、忘れられないイメージを想起させる曲です。
Nightswimming
Nightswimming
ある意味、(元々の意味合いとは違っても)カレッジバンドというタイトルに違わない曲かもしれません。この曲は、ティーンエイジャーであったころの夏の想い出を回顧する歌です。大学に行く前の、それとも大学生低学年の夏休みの夜、彼らは湖に泳ぎに出かけます。森に囲まれた湖で水着など持っていない彼らは、裸で泳ぎます。もうすぐ9月。大学が始まります。ここで、この友人たちと一緒に時間を過ごすのは最後。そして、来年になればまた会えるかもしれないけれど、来年になればまた少し違った人になっていく友人たち。彼らには未来という希望と不安が待っています。その前に、彼らは残された時間を、自由を楽しむために、裸で水のなかに飛び込むのです(ちなみに裸で泳ぐことをskinny dippingと言います)。

こんな経験はもちろん、わたしにはありません。アメリカの田舎で育ってもいないし、湖にみんなで泳ぎに行ったこともありません。でも、なぜかノスタルジアに駆られます。本当は失われていないけれど、失われてしまったように感じるものを、切なく、懐かしく想い出している気になります。湖に一緒に行った仲間のなかには、もちろん自分が想いを寄せている女の子もいます。そう、この存在しない記憶のなかでは、わたしは少々不器用な男の子です。頭は悪くないし、もてないと言うわけでもないけど、それほど器用な少年ではない彼は、切ない想いと満たされない欲望を抱えながら、少し冷たくなった湖の水のなかを何も身につけずに泳ぐのです。そして、何年も経って、ずっとずっと器用になったけれども、何度も絶望と傷心を経験した彼は、あの水のなかで見た光景をいつまでも想いだすのです。あのときの自分を愛しく想いながら。

YouTubeで長いフルバージョンのビデオが見れます。大作です。ぜひご覧ください! こちら

Austin City LimitsでMichael StipeがColdplayと共演したときのものはこちら
(……最高の曲だと言いながらも、やっぱりChris Martinはわかってないよなー、とちょっと思う)


ナイトスイミング
歌詞:Michael Stipe
訳:Gil-Martin

夜に泳ぐには静かな夜がぴったりだ
ダッシュボードに何年も前にとった写真が
フロントガラスから見えるように反対向きに置いてある
街灯が写真を反対に映しだす
でも、それでもはっきり見える
僕はシャツを湖畔に置いてきてしまったんだ
今晩、月は低い

夜に泳ぐときには静かな晩じゃなくちゃならないんだ
みんなわかっているんだろうか
もう何年も昔のようにはいかない
誰かに見つかるかもしれないという恐怖
無謀な自分たちと水の恐怖
僕の裸を人に見られることはないんだ
こういうもの、こういう気持ちは忘れ去られてしまう
毎日という日常のなかに埋もれて

泳いだ夜、あの夜を想いだす
9月が迫っていた
僕は月に恋焦がれる
もし月が二つあって軌道を並んで
美しい太陽の周りを廻っていればどうなる?
明るい調子のいいドラムでは
あの夜のことは表現できないんだ

君のことを知っていると思っていた
君のことを今の僕はいいとも悪いとも言えない
君は僕のことを知っていると思っていた
ささやくように静かに笑っている君のことを
ナイトスイミング

写真が反射する
街灯がみなあのときのことを思い出させる
夜に泳ぐときには静かな夜がぴったりだ
静かな夏の夜が

*アーティスト:REM
 作品:オートマティック・フォー・ザ・ピープル
    「ナイトスイミング」


| gil-martin | 音楽 | 21:21 | comments(4) | trackbacks(0) |
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初めてコメントさせて頂きます。僕も高校時代にLosing My Religionを聞いて以来のREMファンで、特にNightswimmingには思い入れがあります。ロングバージョンのクリップがあるとは知らなかったです。彼等の手にかかると、青春の一断面、という安易な映像にならず、少し歪んだ心性みたいなのが醸し出されてくるのがいいなあと思います。ところで、Gilさんのブログ、音楽への愛情が文章の底に溢れていてとても読んでいて気持ちがよくなりました。ありがとうございます。
| nori | 2006/09/28 4:31 PM |
素晴らしい日本訳です。R.E.M.の詩的な音楽、歌詞には本当に心打たれますね。
| yoshida | 2011/05/29 11:10 PM |
ふとアタマをよぎって検索したらこちらにたどり着きました。ずいぶん前の曲だったのですね。丁寧な解説ありがとうございました。夏の終わりの今聴きたい曲です。
| て | 2013/08/27 10:55 AM |
ラジオでニルヴァーナ特集から聴きました。綺麗な音楽と優しい声。REM聴いてみます。
| かえるくん | 2013/09/02 11:33 PM |









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