Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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社会派じゃなかったのか……
何となく映画づいている今日この頃、一旦映画って見だすとこれもあれも見ておこうか、と思うわりに、しばらく見ないと(ってわたしの場合、半年くらい平気で見ないことがある)見なくてもいいかなあと思ってしまうのだけれど、今映画見る気が満々なので、することは一杯あるのにも関わらずA History of Violence (『ヒストリー・オブ・バイオレンス』)見てきました。
AHistoryofViolence
この映画、去年、アメリカで公開されたときから見たいなあーと思っていたのです。気になってたんですよね。暴力の問題を考える社会派の映画、だという評価のされ方をしていて、David Cronenbergでもあるし、面白いかもしれないと期待してました。そしてギザギザの傷と白濁した眼のメーキャップをした、名脇役と言えばこの人、Ed Harrisの画像を見て期待は高まり、いつ日本で公開されるのかと見るチャンスを待ってたのです。

正直言うと、期待はずれでした。ここまで期待しなければ、ま、面白いかなと思ったと思うのです。社会派かと思いきや、意外にスリラー/アクション映画だったのですよ、これが。言ってしまっていいのかどうかわからないのですが(やっぱり言わざるを得ないので言いますが)、この物語は、善良なド田舎の一市民で、ダイナー(町の食堂)を経営するTom Stall(Viggo Mortensen)と弁護士の妻(Maria Bello)、ティーンエイジャーの息子と4歳くらい(?)の娘で幸せな生活を送っているところに、トムのダイナーにやってきたならず者のごろつきを眼にもとまらぬ早業でトムが撃ち殺してしまったところから、あれよあれよと言う間にトムが実は超ワルの元マフィアだったとわかる、と言う話です。

このViggo Mortensenのアクションの鮮やかなこと。暴力を問うのであれば、リアルで醜くみじめな暴力を描写すべきだと思うのですが、あれはリアルな暴力じゃない気がしました。ああいうこと、できるの? ほんとに? 不意打ちされて不利な状況にあっても、一挙に形勢逆転して相手をバリバリ倒していっちゃいうのです。そして、おまけに両手で相手の首をゴキッとひねって殺しちゃったりするのよねえ。これはAngelの専売特許だと思ってたのですが。これがAngelですそしてサイトはこちら

Angelはスーパーパワーを持ってるからああいうことできるんだと思ってたのに、普通の人でもできるんだー、ふーん、と感心してしまいました。息を呑む鮮やかな暴力シーンでしたね。

この映画が本当に暴力を問う社会派の映画だと思えなかった理由の一つは、トム改めジョーイが超人的な技を持つ元マフィアだってことです。元マフィアって、そんなにゴロゴロ転がっているわけじゃないので、そうある話ではない。例外的でリアリティに欠ける話をしても、社会問題とはあまり思えない。それになぜジョーイがあるとき突然、思い立ってマフィアの生活から足を洗ったのかが今ひとつ見えなかった。なぜ? 疑問ついでに言えば、なぜマフィアはみなキャディラックに乗ってるの? そういうもんなの? 日本だったら、ヤクザはメルセデスベンツかBMWだと思うのですが、アメリカのマフィアは(って彼らはCusackっていう名前からするとアイリッシュマフィアだと思うけど……)国産に乗ろうという愛国心旺盛な人々なんでしょうかね?

本当に暴力を問うのであれば、父親の過度の暴力性を眼にして、まったくの意気地なし平和主義者だった息子が突然、暴力に目覚める部分にもう少し焦点を絞るべきだったのではないでしょうか? 元マフィアだったことが判明したトム/ジョーイを家族が受け入れられるかどうかは確かに大切だし、まあ、あの結末部分の余韻の残し方はいいとしましょう。だけど、その前のトム/ジョーイが過去を「清算する」部分は、どちらかというとアクション映画的流れに話が移行してしまった気がしました。

超人的な殺人マシーンのトムは、どちらかというと暴力と非暴力の使い分けについて、あっさりさっぱり自分のなかで整理がついているように思います。彼にとって暴力という問題は、(自分を脅かす過去の話を清算してしまえば)ただ単に自分が暴力を行使することが可能な人間である、ということを家族が受け入れてくれるかどうか、ということだけ。

むしろ問題となりそうなのは、暴力によってしか問題を解決できないことがあることを知ってしまった息子が、これからどうやってその事実と対処していくか、ということだと思うのです。人殺しまでしてしまったあの息子は、もはや「負けるが勝ち」で暴力的な挑発に乗らないでいた、あの態度を取り戻すことができないのではないでしょうか? ……加えて言うなら、今まで平和主義者かつ運動神経なしという設定だった息子が、ある日突然、うまく立回りができるのはおかしいのでは? 経験も運動神経もなさそうなのに、電光石火の早業で人を打ちのめしたりできないですよね? 油断していたschool bully(いじめっ子)に不意打ちの一発を与えるのは可能だと思いますが(しかも、普通、ステレオタイプだとそういういじめっ子ってフットボールのスターランニングバックで運動神経抜群という設定だと思うけど、最初の体育のときのへなちょこフライから考えると、そう運動神経はよくないのか?)、相手は数人でしたもんね。そういう血が彼の体の中に流れていると言われれば、仕方ないけど。

ともかく何だか詰めの甘さが気になる映画でした。が、スリラー/アクション映画だと言われれば、うん、そっか、それでいいよね、と思うのです。文句ばっかり言ってごめん、って感じです。結局、グラフィック・ノベル(マンガってこと)が原作ですからね。

Viggo Mortensenにかなりリアリティがあったところは評価したいです。最初は本当にド田舎のおっさんでしたもんね。ジーンズの履き方がアメリカのおっさんですもの。ちょっと、というかかなり手を入れれば、かっこよくなるんだろうけど、どうしようもなくダサい田舎のおっさんって時々いますから。その一方、妻、イーディ役のMaria Belloが中途半端だった気がします。ド田舎ながら、弁護士なので少々普通の人より洗練されている、というのはまあ、納得しましょう。でも年齢を考えると、スタイルがよすぎます。着る洋服も、カジュアルなのに自然にセンスが若かったのです。ああいう人はアメリカの田舎にはいません。改造済みっぽい感じがするスタイルのよさで、無理無理な若作りとかどぎつい服を着ているのなら、ありえるとは思いますが。

MariaBelloでも何だか見たことあるよなあ、この人、と思って、家に帰ってimdb.comで確認すると、Maria BelloというのはThe Secret Windowに出ていたあの人ですね。そうだと思ったんだ。あっちでもちょっと中途半端だったかも。あちらでは、Johnny Deppの相手役を張るだけにもっとゴージャスで美しくあって欲しかった。


そしてJohnny Deppと言えば、映画の前にLibertineの予告編流れてましたが、お願い、誰か本当にお願い、彼にこれ以上イギリス人役をやらせないで! スコットランド人もイングランド人もアイルランド人もウェールズ人も、お願いだからやめてー。彼があのへたくそなフェイクアクセントを使うたびに気になって映画に集中できないのです。好きな俳優なのに、ああ、このフェイクアクセントのせいで嫌になりそう。彼にはイギリス人はできないんだから、もうあっさり諦めて欲しいです。

もう話がずれまくっているので、ずれているままで言いますが、あの東劇の入り口前にあったクレーン・マシーンの『子ぎつねヘレン』のぬいぐるみ、かわいかったです。欲しかったなあ。一人だったので恥ずかしくて(それに絶対失敗するから)挑戦しませんでしたが、相方がいれば必ずやってもらったのに(取れるまで!)。映画は見に行くつもりはさらさらありませんが、あれ、欲しいです。
| gil-martin | 映画 | 23:53 | comments(5) | trackbacks(9) |
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こんにちは。
どうも期待はずれだったようですね。
おっしゃるように詰めが甘いかも…
私は結構見ごたえがありました。
どちらかというと暴力を淡々と描き、暴力を通じて人間の心理的、肉体的損傷の「ありのまま」を見せたという感じに捉えました。そこから先は結構濁してますから観客に解釈を任せたようですね。
だからそれ以外のことは目をつぶって、ヴィゴの華麗な変貌振りに注目しつつ(笑)、色々と考えさせられましたわ。

| charlotte | 2006/03/23 2:51 PM |
はじめまして。
TBありがとうございました。
自分的には、大満足の作品でした。
B級アクション映画が大好きなせいかもしれませんが…。
| @KOBA | 2006/03/23 10:33 PM |
Charlotteさま

いやいや、わたしの期待が大きすぎたんだと思います。何も聞かないで行っていたら(そしてCharlotteさまのようにViggoに対する愛が大きければ)、しっかり満足したかもしれません。Viggo、すごかったですねー。


@KOBAさま

わたしは途中から、アクション映画だったんだーと思い直して、純粋に華麗なアクションを楽しんでいました。そう思っていれば、最初から楽しめたのに…。映画の批評家を頼りにしてはいけない、といういい例ですね。
| Gil-Martin | 2006/03/24 9:00 AM |
こんにちは!
バリバリの社会派映画ではなかったですね。
一つのジャンルとしては物足りないのかもしれないけど、
私はその複合加減がおもしろかたったですー。
ハラハラドキドキしつつ、考えさせられて、ホロリ。
| かえる | 2006/03/30 1:00 PM |
かえるさま
TBありがとうございます。ハラハラドキドキでした、確かに。エンターテイメントなんだ、と思って見に行くと、結構、いいもん見たなあー、と思って、劇場を出られるかもしれませんね。失敗したー。
| Gil-Martin | 2006/03/30 10:51 PM |









http://gil-martin.jugem.jp/trackback/41
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