Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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6 Degrees of Kevin Bacon
忙しかったのと、どうもこれについて書きたいという曲が思いつかず、少々さぼりがちになってしまいました。それで少々以前に見た映画について書こうかなあ、と。Where the Truth Lies (『秘密のかけら』)です。あんまり評判にもならなかったし、素晴らしい映画というわけでもなかったけど、なんとなくわたし的にはツボだったので。主演は、ケヴィン・ベーコン、コリン・ファース、アリソン・ローマンです。どうしても映画が見たくなって行き当たりばったりで見た映画なのですが、わたしが見たときにはすでに劇場公開の終わりかけだったので、今はもうどこでもやってないんじゃないでしょうか。なので、ややネタバレで行きます。
Where the Truth Lies
これを見て最初に思ったのは、6 Degrees of Kevin Baconにまたバリエーションが増えるぞ、ということでした。6 Degrees of Kevin Baconってご存知でしょうか? お馬鹿なゲームで、共演者たちを結んでいって、ある俳優からケヴィン・ベーコンに辿り着くまでに何人かかるか、ということを競うものです。ケヴィン・ベーコンはエンターテイメント界(映画界)の中心であり、誰も彼もが六段階まででケヴィン・ベーコンとつなげることができるという仮説に基づいたゲームです。

例えば、ミシェル・ファイファーはジャック・ニコルソンと『イーストウィックの魔女たち』で共演しました。そしてジャック・ニコルソンは『ア・フュー・グッドメン』でケヴィン・ベーコンと共演しています。ということは、ミシェル・ファイファーのベーコン数は2、ジャック・ニコルソンは1となります。

今回、ケヴィン・ベーコンはコリン・ファースと共演し、コリン・ファースのベーコン数は1となり、コリン・ファースと共演した多くのイギリスの俳優もベーコン数がぐっと小さくなったはずです。このゲームのそこはかとないおかしさは、このエンターテイメント界の中心とされているのがケヴィン・ベーコンだということでしょう。彼は確かにキャリアも長いし、かなりいい映画にも出ているけど、オスカーも取ってないし、完全な脇役俳優というほどマニアックな位置にあるわけでもない。つまり、ジャック・ニコルソンでもなければ、ジョン・マルコビッチでもない、その中途半端さがなんだかいい感じなのです。

ゲームだけでなく、この『秘密のかけら』は微妙な映画でした。性描写が多くてB級映画の領域に入りそうなんだけど、ケヴィン・ベーコンとコリン・ファースだし、二人がなかなかの演技を見せ、なおかつかなりのリスクを犯して演技してます。かといって、社会問題を訴えかけることもなければ、感動も呼ばない。ミステリーなんだけど、謎解きがそれほど重要な感じでもなく、ドキドキもしない。まあ、その中途半端さがいいといえばよかったのですが。(映画の公式サイトはこちら。)

この映画の最大の魅力でありながら、おそらくアメリカ以外の観客にいまひとつアピールし切れなかった部分は、ケヴィン・ベーコンとコリン・ファースの役が50年代に一世を風靡するボードヴィル・コメディアン(二人組みのコメディアン)であるということで、明らかにある実在の人々を思い起こさせることでしょう。

アメリカ人は(ある程度の年齢の、かな?)主人公二人を見て、Dean Martin(ディーン・マーティン)とJerry Lewis(ジェリー・ルイス)を思い浮かべます。彼らも1956年にコンビを解消しました。もちろん、全裸女性殺人事件という話はありませんでしたが。このように違うところがあるので、完全に彼らのパロディというわけではありません。映画のなかでは二人がポリオのチャリティのテレソンのホストをすることが一つのポイントとなりますが、実際にはコンビ解消後にJerry Lewis一人が筋ジストロフィー患者のためのテレソンのホストを務めています。しかし、見ている人は間違いなく二人をこの伝説のボードヴィル・コメディアンたちに重ね合わせたに違いありません。ショービジネスには当たり前、特にコメディアンには多いのですが、ケヴィン・ベーコンが演じた役ラニー・モリスもユダヤ系でJerry Lewisはユダヤ系です。コリン・ファースが演じた役ヴィンス・コリンズはそのままイギリス人で、Dean Martinはイタリア系なので少々の違いはありますが、見ている人はLewis & Martinのコンビ解消の裏にこんな話があったかどうだかという気持ちで見たはずだと思います。

この映画では、二人が絶頂を極めており、同時にコンビを解消しようとしている50年代と、過去の人となっている70年代の二つの時代を中心に物語が展開していきます。70年代になって少々落ちぶれたもののやっぱり大物の二人に、伝記を書こうとする若手ジャーナリスト、アリソン・ローマン演じるカレン・オコナーが近づきます。彼女が注目しているのは、彼らのコンビ解消の理由となったらしい、全裸女性死体事件。二人が24時間のテレソンを終えたあと、ホテルの部屋に全裸の女性の死体が発見されたのでした。カレンはヴィンス・コリンズの聞き取り伝記の契約を結び、また同時にラニーが自分自身で出版しようとしている伝記を読むことによって、10数年前の事件の真相を探ろうとするのです。

AlisonLohmanわたしは実はこのアリソン・ローマンが好きなのです。童顔なので実際の年齢より若い役をすることが多いのですが、かなりの演技派です。今回の映画では、やたらセクシーな役でもあったので、この童顔が祟ってちょっとヤバイなあと思った人も多いかもしれません。ともかく特別美人ではなく、まあかわいい、という感じの顔なのですが、何だか印象に残る顔です。Big Fishで幻想的な憧れの少女として出てきたので顔を知っている人も多いかと思います。わたしが彼女を最初に見たのは、Pasadenaというテレビシリーズで、残念なことに5、6回くらいしか放送されなかったと思います。それ以来、彼女には注目しています。曲者役が多いので、将来大物になるかも!


ともかく、いろいろあって、またまたぐちゃぐちゃする映画で、みんなくんずほぐれつの大騒ぎです。一言で言ってしまうとこの映画のポイント(見所も謎解きも)は、"swinging both ways"なのでした。わはは。

という片付け方をすると、ショービズの世界、そしてその周りのジャーナリズムもドラッグとセックスだよ、と単なるセンセーショナリズムだけのストーリーということになってしまいます。それはそうなのです。けれど、それに微妙な陰影を加え得たのは、やはり俳優たちの演技力のおかげでしょう。最初は今ひとつ愛せないボードヴィル・コメディアンの二人、ラニーとヴィンスが、クライマックスまでにはやっぱり完全に肯定できなくても、その魅力がわかるようになってくるのです。

ラニーはなんだかいつもハイパーで嫌味な「スター」です。でもなぜかセクシーな魅力もある。そこは何だか理解したいようでしたくない、とわたしは映画を見ているあいだ揺れ動きました。ケヴィン・ベーコン自体、決していい男じゃないし、すごく微妙なんですもの。でもそこにアリソン・ローマン演じるカレンが、10数年前に実はポリオが治ったばかりの少女としてその2人が解散する前のテレソンに登場したことがあり、彼が事件のことで頭が一杯のままで涙を流して言った"you’re a very special girl"という言葉を力にして生きてきた、ということがわかると、彼女の眼を通して彼を見ることができ、彼が英雄視される理由も理解できるようになります。そして、非常に複雑なヴィンスへのラニーの愛情が最後にわかることによって、彼はそれほど薄っぺらで嫌な奴じゃないことがわかり、見ている方としてはますます複雑な気持ちになるのでした。

コリン・ファース演じるヴィンスは最初から最後まで、わかりづらい人間です。イギリス訛りが与える印象とたがわず(アメリカ人にとっては、ですが)ヴィンスは紳士的で優しい人間のように見えます。しかし、最初の部分のフラッシュバックで語られる50年代のコメディクラブでのエピソードで、ラニーと較べるとまともな人間、という評価は覆されます。ラニーが乱暴に扱った客が彼をユダヤ人め、とののしり、会場が険悪な雰囲気になったあと、ヴィンスは謝らせてくれと言葉巧みにその客を舞台裏に誘いこみます。しかし、彼は突然人が変わったようにその客を殴りつけるのです。そこで彼もそれほどまともではなく、やっぱりドラッグに明け暮れるクレイジーなショービズの人間だということがわかるのです。70年代のヴィンスも少々陰鬱で哀しげながら、抑制が効き、いい人間のようなのですが、やがてはカレンをはめるのです。ここがまさにポイント。ヴィンスはドラッグで酩酊していた状態で、決定的となるああいう行動に出たわけですが、カレンもドラッグの影響で夢うつつの状態だとあっさりそういうことになる。これでヴィンスは彼女をコントロールする材料を手に入れただけではなく、自分自身をなぐさめることができるのです。

この映画、もう少し性描写を控えめにしておいたら結構いい映画だといわれたかもしれないなと思います。それともコリン・ファースとケヴィン・ベーコンよりもっと無名な俳優だったらよかったのかも。といいながら、その二人だからという魅力もたくさんあったのですが。でも、50年代、70年代のレトロな感じの衣裳はかなり楽しかったです。結局、ちゃんとお話を説明せずに書いてしまったので、見なかった人はさっぱりでしょうね。もうちょっとちゃんと書いてもいいのかなあ。ということでレヴューも中途半端になってしまいました。
| gil-martin | 映画 | 22:45 | comments(1) | trackbacks(0) |
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 素晴しいです。
文章も、選別された全ての物が心に響きます。
ここに来て良かった・・・。
| レザック66 | 2007/12/08 6:49 PM |









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