Gil-Martinの部屋

Gil-Martinの愛する音楽、感じたことなどなど

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ふたたび氷壁
一応、NHKドラマ『氷壁』の初回について書いたので、土曜日の最終回を見終わっての感想を書くことにします。多分、見逃したのは一回だけだと思うので、話の筋はちゃんと理解していると思うのですが。
氷壁
氷壁
井上 靖
まず、根本的なところからいえば『氷壁』は男と男のラブストーリーですね。その男同士の愛とストイシズムの話を複雑にしているのが、鶴田真由(わ、役名をさっぱり覚えてません。したがって、すべて俳優名で通します)。彼女は石坂浩二扮する金持ち社長のところへ、貧乏生活から逃れるために後妻に入っています。なのに、夫の会社関係で出逢った男(広い意味で言えば、部下?)――山男の山本太郎――と浮気。そして山本太郎が消えたら、今度はその友人の玉木宏と一時の関係を楽しみます。でも最後はやっぱり金持ちの石坂浩二のところへと帰ります。

この鶴田真由を中心とした人間関係を、まず女性側から見ていくと……
鶴田真由は伝統的男性依存型女性の人生の線路の上をうろうろしているタイプ。「わたしの価値はわたしの男の価値」ってことですね。会社社長の年上ジジイとの結婚は、それを極めたものです。後妻だし、すでに自分と同じ歳くらいの息子もいるから、もちろん子供を産むことは期待されてない。したがって、家事育児の重労働の必要もなし。いわゆるトロフィーワイフ(金持ちの男の若く美しい妻のこと)。それで、インテリ風ジジイにちょっと飽きたから、肉体系の若者、山本太郎に手を出してみる……いや、そこまで若くないけど。それも消えてしまったので、やっぱり肉体系だけどなんだかいつも悩んでいてかわいい玉木宏に手を出してみる。手を出すだけではなく、もっと思い切って彼のところへ転がりこんでみる。

そして、風呂もないアパートで、裕福な生活を捨てて「愛のために貧乏な生活をしているわたし」に自己陶酔。1000円以内で夕食二人分つくって威張ってます。ううーん? これには、世の中のたくさんの女性が突っ込んでるだろうなあ。食卓にはクリームシチューしかなかったように見えました。フルコースの食事を二人分1000円でつくったらそれはすごいとは思いますが、クリームシチューでしょ? 主婦専門雑誌(っていうのかな?)とかにはすごい節約主婦とかが一杯載ってて、一ヶ月食費いくらで! とかあって、その人々がもっともっとスーパーな技を使って、ほんのわずかな金額で完璧な食事を作ったりするんじゃない? (ってすごく適当な情報から適当なことを言う)。

ま、石坂浩二も的確に指摘しているように、基本的に男性寄生女の鶴田真由はそんな「おままごと」をして喜んでるわけですから、こんな突っ込みはいいんですけど。石坂浩二が言うには「20万円のワインを飲んでたような女にそんな生活は無理」なのです。……ン? ちょっと待って。鶴田真由が石坂浩二と結婚したのは、貧乏だったからでしょ? 生まれてこの方贅沢な生活してたわけじゃないだろうし、そういう生活して、せいぜい5年とかの話なんじゃないんでしょうか? だから実はここは大きな矛盾であり、ある意味ミソ。

それにしても、若い女を嫁にして喜ぶ、リッチなオヤジ石坂浩二、肉体派だけど社会的に成功している山本太郎、「自分は不器用ですから」風肉体派の悩める男、玉木宏、こいつらがみんな寄ってたかって鶴田真由を自分の「モノ」にして、養ってやろうとするのです。こういう人っているのよねえ。そういう才能に恵まれている人。男がどうしても支えたくなる女。鶴田真由はもちろん美人だけど、こういう才能あるなしって世の中では美しさには関係ない気がする。ちょっと不幸そうとか頼りなさそうとかそういうことか? それだけじゃないよね。

ともかく、生活能力はあまりない「愛する」男と一緒に暮らそうとしたら、もうちょっと性根が座ってないといけないんじゃないでしょうか。「わたしってすごく頑張ってます」風にスーパーのパートなんかしちゃって。いや、それにスーパーのパートだってちゃんとやれば、それなりにお金もらえるんじゃないのかしら? 風呂なしのアパートだったら家賃はすごく安いだろうし、二人分の食費くらい(ちゃんと料理ができれば)たいしたことないし、そーんな貧乏ぶらなくってもいいのではないかなあと思いました。ここで、もう金持ちのトロフィーワイフとしてパラサイト女の生活が嫌になったんだから、「愛」のために大きく方向転換して「もう山でも何でも行ってらっしゃい、わたしが養ってあげるから」ってなったら、感心しただろうけど、あー……その中途半端な根性がいかん。つまり、元々パラサイト人生しか歩むつもりがなかった女性が、中途半端にそこから脱却を図って結局は失敗した(金持ちオヤジのところへ鶴田真由は戻った)の図です。

でも男のほうを見ると、それはそれで突っ込みどころがあります。
トロフィーワイフが欲しいオヤジの心はわざわざ述べるまでもないでしょうが、問題はこの山本太郎から玉木宏への鶴田真由の移動ですね。最終話のポイントは、山本太郎の死体が見つかり、事故と思われていた彼の死の真相が判明することでした。それをきっかけにして、鶴田真由と玉木宏の「愛があれば幸せ」貧乏生活のあいだに亀裂が入ります。それは、なぜか、という謎は、玉木宏に対する鶴田真由の意味、を考えることによって簡単に解けます。

まず、玉木宏はどうやら最初、パーティで会ったゴージャスな金持ちマダム、鶴田真由に惹かれています。そしてその後、彼女が山本太郎とも関係があったらしいことを知り、その後、彼の死をきっかけに、より思いを強くするのですね。玉木宏が鶴田真由を求めて、その関係を深めるのは、ずばり山本太郎のモノだったから。もう死んでしまった愛する親友のモノを自分のものにすることによって、二人の絆はより深まり、山本太郎の愛は鶴田真由という媒介によって存在しつづけることができるのです。山男同士の強い絆を持つ玉木宏と山本太郎のあいだのザイルが鶴田真由なのですねえ。しかし、山本太郎が玉木宏を巻き添えにしてしまわないようにみずからカラビナを外した、と知ったとき、玉木宏は二人の間の絆(=愛)に鶴田真由という間接物は必要ないと悟るのです。つまり、失われた愛の代替物として鶴田真由がいたわけだから、山本太郎からの愛が証明されれば、そんな間のものは必要ない、どちらかというと邪魔、ということです。生きて帰って鶴田真由と結婚したかった山本太郎が、自分が死ぬことによって玉木宏の命を救うことを選んだ、ということは、山本太郎は鶴田真由より玉木宏を選んだということでもあるわけです。なーんだ、もう間接的に鶴田真由を媒介にして、二人の愛を感じる必要なんかなーんにもなかったんだー、と玉木宏はわかるんですね、ここで。

それに加えて、問題は元々赤貧だった鶴田真由の本質を玉木宏は、やっぱりパーティのときのゴージャスマダムに求めていることです。オイオイ。つまり無骨な山男にとっての、都会、洗練、女性性、それらすべてを象徴するものとしての鶴田真由が好きだったわけで、貧乏生活をしているときの家事をする彼女も、もっと社会的に力を持つ金持ちオヤジから奪ってやったことを証明するものとして満足を与えてくれるけれど、結局はそれほど魅力がないものだったりするのですね。あれ、あんなにまぶしいきれいな人だったのに、単なるやつれた貧乏女、ってことですね。そしてもちろん、赤貧の生活から彼女を救ってやったはずの石坂浩二でさえ、彼女は20万円のワインしか飲めない女、と定義するのです。それは彼の財力と環境によって彼が「創りあげた」彼女であって、元々の彼女ではない。つまり彼女は石坂浩二の作品なのですね。貧乏町工場の娘でしょ、所詮は? でも、「あら、そういわれれば、わたしったらそうみたい」、と言って、彼女は金持ちオヤジのところへ戻っていくのです。ま、これはこれで男の言うことにしっかり順応していくという、パラサイト女の資質として素晴らしい必要不可欠な能力だと思いますが。

でもねえ、結局、そのきらびやかなトロフィーワイフ生活もそれほど素敵じゃない感じで終わってました。ネイルサロンを買い与えてもらって楽しく生活しているから、もう綺麗でゴージャスなだけの生活かと思っていたら、帰ってきた彼女に石坂浩二は
「喉が渇いたな…」
ここは、もちろん彼が大騒ぎせずに彼女を迎え入れたということを示す言葉であり、彼女がにっこり笑って「お茶でも入れますね」ということに、あー二人の仲はこれでうまく行くんだなと思わなくてはならないわけです。でも、これ、どうでしょ? わたしなら、もちろん
だから?
と言います。

まず、欲しいモノがあるときは言葉に出してはっきりと。そう教えられませんでしたか? 「お茶を入れてもらえませんか?」と聞かなくてはなりません。しかも外から帰ってきたばかりの人に、着替えたり休んだりする暇も与えずに、用事を頼んではいけません。出勤してきたばかりのお手伝いさんじゃないんですから。

普通なら、「ああ、疲れただろう、ちょうどお茶でも入れようと思ってたんだ。座ってなさい、お茶を入れてくるから」であるべきだし、すんごいお金持ちなんだから、召使の一人や二人いたっていいでしょ?
石坂浩二が言うべきは「ああ、疲れただろう。今お茶を入れさせるよ、一緒に飲もう」
鶴田真由「ありがとう。着替えてくるわ」
石坂浩二「そうしなさい。ここで待ってるよ」
こうあるべきでしょ、こう! なんか金持ちのトロフィーワイフに納まって贅沢で楽しいだけの生活かと思いきや、ごくごく普通の和風な主婦生活じゃーん。家事なんかしてると爪が欠けちゃうのにいぃぃ! 素敵なパラサイト生活じゃないよおお。

多分、また彼女はそれが嫌になって、若い男の子たちと浮気し続けるんでしょう。でもやっぱりその男の子たちも彼女の社会的な価値にしか興味がなかったりするんだろうけど。まあ、それはそれで「男の価値が自分の価値」っていう人生を選んでしまった彼女の責任か。

ってことで、山本太郎と玉木宏の愛以外は何にも素晴らしくないドラマでした。あ、雪山も綺麗だった。女に邪魔されない男同士の愛の世界――雪山――それは美しい、というドラマだったわけです。あー、男のドラマだった。

| gil-martin | つれづれ | 20:11 | comments(4) | trackbacks(2) |
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ふ、ふかいですね〜、読みが!
でも、それなら2回目の玉木君の「北沢、お前が好きだ〜!!」発言の意味が通ります!!
テーマ曲のリベラの曲もよかったですよね。
| Izumi | 2006/03/01 10:11 PM |
Izumi様

ご訪問ありがとうございます。わたし、その「お前が好きだ!」発言見逃したかも…。

テーマ曲、崇高な感じでよかったです。雪山のイメージとぴったりでしたね。でも来日したリベラが歌っているのをちらっと見ましたが、天使のようなお子さまたちかと思いきや、ごく普通の子供たちでちょっとがっかりでした。

よければ時々ご覧ください。
| Gil-Martin | 2006/03/02 9:36 PM |
このドラマ、エンディングの雪山の風景とバックに流れるリベラの曲が一番楽しみだったかもしれません。リベラは普通のお子様がたでしたか。でしょうね〜(^^;)
「お前が好きだ」発言は、K2で玉木君が垂直壁を登り、ザイルをかけて降りて来た時に凍死しかけていた北沢を起こす時に叫んだセリフです。ネット上でちょっと話題になってました。実は「お前が次だ〜」だったという説もありましたが真偽のほどは定かではありません。でも、文字放送ではちゃんと「好きだ」と表示されていたとか。
| Izumi | 2006/03/04 3:19 AM |
Izumiさま

むむっ、その謎はそそりますねえ。一瞬、なんだかDVDを買いたくなってしまいました。NHKの公式ページに6月発売と買いてありました。が、もちろんわたしは買いません。
| Gil-Martin | 2006/03/04 10:43 PM |









http://gil-martin.jugem.jp/trackback/32
NHK土曜ドラマ:「氷壁」 最終回
『氷壁』最終囘「山男の傳説」 八代の家を出た美那子。 喫茶店で物思ひにふけり、つひに奧寺のアパートに向ふ。 橋の上で美那子と出會ひ、奧寺は自分のアパートに美那子を連れてゆく。 一緒に暮しはじめる二人。 八代を尋ねて、美那子と離婚してくれるやうに頼む奧寺
| 仙丈亭日乘 | 2006/02/28 7:21 AM |
【ドラマ雑感簡略版】 土曜ドラマ『氷壁』 (最終回/全6回) 「山男の伝説」
 土曜ドラマ『氷壁』(第6回・最終回)◇法廷で劣勢に立たされていた奥寺(玉木宏)らは、美那子(鶴田真由)が北沢(山本太郎)を愛していたと証言したことで盛り返す。程なく、美那子は八代(石坂浩二)に別れを告げて家を後にし、奥寺のアパートへ身を寄せる。登山
| 気ままなNotes... | 2006/03/08 12:14 AM |
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